セキュリティ系エンジニア。IT技術について書いているふりをしています。
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【世界の武術】 第8回 躰道
いままでの動画などを見て思ったかもしれませんが、
武道というのは意外に地味なものです。

武道はもともと、いかに要領よく敵をやっつけるかが目的ですから、
シンプルに大きな効果を発揮する方向に発達していくのは、ある意味当然です。

しかし、それが武道の全てでしょうか?
とりあえず簡単な反論だけでも、3つくらいは考え付きます。

1.動きが地味だと言う事は、対策も立てやすいという事です。
  柔道にしろ空手にしろ、総合格闘技やキックの選手から見れば、
  「ふうん、この技が強力だな。じゃ、こう対策しようか」
  ということが簡単にできてしまいます。

2.地味な動きということは、運動量が少ないということです。
  心肺能力や柔軟性、瞬発力を鍛えるという観点から見ると、
  武道の基礎練習は、テニスやサッカーの試合よりも運動になりません。

  じゃあスパーリングかというと、今度は消耗が激しいので、
  ゴルフやスキーのように、一日楽しくやるわけにはいきません。

  それはスポーツとしてはどうなのでしょうか?
  若い青少年であれば、「今日は一日、全力で飛び跳ね、汗を流したい!」
  と思うのではないでしょうか? 

3.当たり前ですが、地味だということは、
  大してカッコよくないということです。

  しかし、武道と聞くと、地味なイメージでしょうか?
  武道をやるとき、「護身・健康・精神修養のためです!」
  と口では言っていても
  「本当はカッコ良い技を身につけてモテたいんだ!」
  という人もいるのではないでしょうか?


もちろん、これらの動機を卑怯だ、無意味だ、邪道だ、という人もいます。
武道はストイックに背負い投げや正拳突きを1000回やるものだ、
と言う人もいます。それはそれで結構です。

しかし、そうでは無い人に対して「キミは武道に向いてないね」
などと言うほど、武道は狭苦しいものではありません。

今回は、
「奇襲技を身につけたい!」
「楽しく汗を流したい!」
「カッコいい技を身につけたい!」
という人に向いている武道を紹介します。

それが躰道です。



【躰道とは何か】

躰道は、空手の一派である玄制流空手道の祝嶺正献が、
昭和40年に発足した、新しい武道です。

海外も含めると、競技人口は数万人以上と考えられます。
現在は、ヨーロッパでも人気があるようです。
競技者の半数が女性という、珍しい特徴があります。

最大の特徴は、アクロバット的な攻撃を繰り出すところにあります。
技術は八種類の歩き方(運足)と、五種類の体の操り方(操体)に分かれていて、
試合形式はこの技術を使うために作られています。

これらの動きはどれも極めてダイナミックです。
多くの日本武道には含まれていない、
伏せてからの蹴りや跳躍しての突き、バク転、転がるなどの
三次元的な動きがあり、体操競技の床運動に似ています。

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躰道の試合




【躰道の歴史】

昭和20年第二次世界大戦の末期、祝嶺正献(しゅくみねせいけん)氏は、
特攻隊員として、沖縄近海で作戦中の敵艦に攻撃するよう命令を受けました。

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祝嶺正献
1926-2001



祝嶺は懸命に考え、旋・運・変・念・転という運動を基にして、
三次元の運動空間に適応できる実技を編み出しました。

そして終戦。昭和21年には大分県の山中、23年には沖縄の無人島で
多くの技術を創作し、24年には静岡県で実技を初めて公開。

以降は大学・自衛隊・企業など120あまりの関係道場で、
基礎的な内容を整え、37年に各技をまとめ、躰道と名づけました。

そして昭和40年には、相対(敵に向かう)原理、相剋(敵と対立する)原理、
体気(呼吸法)、法形(型)、経絡(急所)などの気学や陰陽道など、
古典的な民間療法に、近代科学を取り入れて集大成しました。

躰道を見ると、実戦から離れているように思うかもしれませんが、
実は、戦争という最も実戦的な状況から生まれた武道なのです。



【躰道の技術 -無尽蔵の突き蹴り-】

躰道には、名前のついている突き蹴りの技術数だけでも、
おそらく他武道の3倍以上の量があります。

そのベースになっているのは、旋・運・変・捻・転です。
非常におおざっぱに言うと、横回転、跳躍、倒れる、倒れながら横回転、宙返り
といったところです。

これらの動きに、突きと蹴りを組み合わせるため、
躰道の技法数は膨大な量になるのです。

「こんなにあっても、ほとんど役に立たないんじゃないのか?」
と思われるかもしれません。

しかし、そもそもの話ですが、普通の突き蹴りは対策が立てやすいのです。

これに対して、躰道を完全に対策するのは、ほとんど不可能です。
一つ一つの技術に対して、対策を立てることは簡単かもしれませんが、
これら全てを対策するということは、とてもできません。

そして、知識や経験に無い技術というのは、一度命中してしまうと、
大きな身体的、精神的ダメージを受けてしまうものです。

次の動画を見て、初見で対応できるかを考えてみてください。

なぜか躰道の動画は音楽がかかってるのが多いのですが、
まあそこは気にせずで。

躰道はまた、型競技も行なっています。
単独競技もあるのですが、「展開」と呼ばれる一対多の技術が華やかで、
人気があります。

以下が、躰道の展開競技です。




【躰道を習いたい】

躰道の名前を初めて聞いた方もいると思いますが、
大学をはじめ、道場も意外にたくさんあります。
特に医療系の大学にはかなりあります。これは組織の方針だそうです。

地方には少ないかもしれませんが、どうしてもやりたい場合は、
大学の部活に参加できないか、聞いてみるといいでしょう。

躰道は、まず体を動かすのが好き、という人に向いているでしょう。

跳んだり跳ねたり回ったり転がったりするわけですから、
それが好きかどうかで決めるのがいいと思います。
特に体操の経験があり、かつ武道をやりたい人にはうってつけです。

もしくは、体を動かせるようになりたい、という動機がある人です。
身体能力全般が向上するので、「青少年の育成」という観点から言えば、
極めて優れています。女性も多く、比較的年配の方もいるのはこのためです。

宙返りやバク転というと、事故が怖いと思うかもしれません。

しかし、躰道はそれらの技術が中心にすえられているため、
指導法はかなり高度に確立されています。

躰道で事故を起こす可能性は、体操のジムで事故を起こす可能性よりも
むしろ低いかもしれません。

このほか、他の武道をやってきたが、独特な技術を身につけたい、
格好いい技術を学びたい、という人にも向いています。

一方、スパーリングや乱捕り稽古が目的の人には、
宙返りの練習などが面倒に感じるかもしれません。
好みは分かれるでしょう。



【躰道で戦う・躰道と戦う】

躰道の技術は、決闘や喧嘩などでも有効でしょうか?

躰道の試合は、躰道の技術をどこまで使えているか、が採点基準になります。
そのため「実戦」と呼ばれる組手競技はライトコンタクトのポイント制です。
KO前提ではありません。

したがって、一般的な武道を相手にする場合は、
まず、躰道の技術で一撃KOを狙えるまで、威力を高める必要があります。
おそらく、これが躰道で戦う上で、最も高いハードルとなるでしょう。

躰道の複雑な技術は、ローキックやストレートパンチに比べると、
どうしても威力を上げるのが困難です。しかし、不可能ではないはずです。
KOできる威力が身につけば、他の武道に伍して戦うことができるでしょう。

一方、躰道以外の技術で躰道を相手する場合、
素人であれ達人であれ、必要なのは、まず慎重になることです。

闇雲に攻め落とそうとして、見たこともないカウンターを
ピンポイントで食らうと、それで一気に意気消沈してしまいます。

ただし、逆に怖がりすぎて、想像していない先手を取られてしまうのも
禁物です。慎重になるというのは、カウンターを狙えという意味ではありません。

腰を落として顔をガードし、自分の得意な技術で先手を取るようにしましょう。
躰道の攻撃はたしかに多彩ですが、防御まで多彩なわけではありません。
平常心で戦えば、そこに勝機が見出せるでしょう。



【オマケ】

アメリカのTV番組で放送された、躰道の紹介

なぜこれがオマケなのかというと、私の友人が映っているからです(笑)。
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by neo_logic | 2009-01-28 22:24 | 世界の武術
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