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by neo_logic
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【書評】 デス・ノート  大場つぐみ 小畑健 集英社(2006(最終巻))
見事である。
これほど完成されたコミックを見たことはないし、
今後、類似した作品がいくら出てこようとも、
この作品を超えることは至難の業だと思う。

私はロジックで勝負する作品はすこぶる苦手である。
細かく考えるのが苦手だからだ。

だから、ミステリの類はまず全部推理せずに読む。
そして、その後、面白ければ何度か読み返して考えて、
そして結論を出す。

したがって、「そんなもん読者に解けるわけねえだろ!」
と、読みながら思うということは無い。
むしろ、作者がどういう意図を持って作品をつくり、
どうやって結論付けたか、というところに視点を置く。

そしていろいろ諸般の事情を総合的に考慮し、
1.限度をはるかに超えた常識の逸脱がない。
2.作中で作ったルールを守っている。
3.緊張感やカタルシス、ドラマがある。

あたりが守られていれば傑作扱いする。
まずここは守られていた。

もちろん、デス・ノートは非常識な前提があり、
登場人物が異様に心理的な解釈に長けすぎていて、
作中のルールはしばしば破られ、中だるみもある。

しかし、少なくとも自分にとっては、許容できた。
むしろ、私の想像を大幅に超えて達成された。
だから、少なくともこの作品は私にとっては傑作である。

そして、追加点がある。
これがジャンプ・コミックスという
媒体によって提供されたということである。

コミックは、映画や小説よりも高い要求がなされることがある。
ましてや週間連載はそれに拍車がかかる。
完成度が高いというだけではダメだ。
ひきつける画力やコマ割を持ち、次号への期待を抱かせる必要もある。
デス・ノートは、それも乗り切った。

さらにジャンプ・コミックスの特徴は「努力・友情・勝利」という点にある。
そしてもう一点、どんなにつまらなくなっても売り上げが続く限り続ける、
という点もある。
デス・ノートは、破格ではあるものの、この特徴には該当している。
該当しつつも、作品の質を致命的に落とすことなく乗り切った。

すさまじい作者の根性である。

ごく個人的には、デス・ノートの前提となる超能力的な設定は
あまり好きではない。
登場人物の哲学や作者のメッセージに対しても、
それほど共感する点があるわけでもない。

デス・ノートを評価するのは、短所を抱きつつも、致命的な失点を防ぎ、
長所を引き出せる限り引き出したという、総合点の高さがあるからである。
一つの作品が世に出るまでの多々ある関門を乗り切り、
加えて絵やドラマ、ロジックも高い水準を維持したという、
あれこれある諸要素を抱えながら前に踏み込んだという成果を
出したからである。

「たった一つでも決定打となる長所があれば、
他の短所なんて全部目をつぶってもいい」

というのが、私の作品へのスタンスである。
デス・ノートは

「決定打となる長所があり、しかも短所がそれほどない」
という作品である。

だから、私の及第点をはるかに超えている。

十分に自分が楽しめて、他人にも自信を持って薦められる作品である。
満点と言い切れないのは、これは単純に「個人の超人性なんて限界がある」
という、大人びた常識の足かせを引きずっているだけに過ぎない。
作品としての欠点ではないと思う。

多くの読者がやっている細かい点についての議論には私は参加しない。
参加できるほど私の頭が良くないからである。

【評価】
総評 95/100点 (傑作)
主題   合格点
設定   合格点
美術    合格点
構成   合格点
大衆性  合格点
個性   合格点
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by neo_logic | 2006-07-17 15:25 | メディア評
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