セキュリティ系エンジニア。IT技術について書いているふりをしています。
by neo_logic
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【書評】 汝ふたたび故郷へ帰れず (飯島和一 著)
久々の書評。
歴史作家の飯島が書いた現代もの。

傑作。

あまりボクシング関係の小説を読んだことがなかったので、
ちょっと興味を持っていた。

文藝賞受賞作だから外れもないだろうと
思っていたのだが、これは予想以上だった。
このサイトに来る人なら、まず間違いなくお勧めできる。

挫折しかけたボクサーが再起をかけて挑む。
日本一位のボクサーに十回戦で戦う。
ただそれだけの話だが、周囲の人々を通じて描かれる心理描写が秀逸。

ごく私見だが、格闘技というのは縁だと思う。
格闘技に関わる人が、それを続ける最大の理由はそこに縁があるからじゃ
ないだろうか。

実際のところ、格闘技なんてやらないにこした事は無いと思う。
なにせ金にはならない。女にはもてない。社会的名声も大したもんじゃない。
痛えし臭えし辛えし、ろくな事がない。
見る分には格好いいかもしれないが、伊達と酔狂でできるもんじゃない。

それでも、その世界でプロを目指そうなんていう気になるのは、
これはもう縁があったからと言うしかない。
本能というのは簡単だが、進化しすぎてしまった人間という生物が、
本能だけでリングに立つというのは、あまりに短絡的である。

この作品は
「ヒーローが唐突な修行でチャンピオンになる作品」でもなければ、
「人生の辛さに耐えかねて挫折する作品」でもない。
ただ、この作品から得られる感動は、そういう作品の感動を内包している。
それは、人との縁を通じて描かれているからだと、僕は思う。

感動したか感動しなかったかという観点だけで言うなら、
ここ3年で感動した作品はこれ一つだけだった。

「カマーン、ボーイ、カマーン!」

総評 99/100点
文章   満点
構成   満点
人物   合格点
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by neo_logic | 2007-01-27 11:15 | メディア評
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