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【世界の武術】 第1回 柔道
【柔道とはなにか】

柔道とは、畳の上で柔道着を着て、一対一の対戦を行う武道です。

競技としての柔道は、つかんで、投げて、相手の背中が、
勢いよく畳についたら勝ちです。
また、寝技で締め、間接技を用いて、相手が降参しても勝ちになります。

ですが、柔道は単に勝ち負けを争う競技ではありません。
型稽古を通じた一人稽古もありますし、
対人の稽古でも、勝敗だけではなく、それを通じて心身練磨を行うこと、
むしろ、そのことこそが重要である、とされています。

日本国内の競技人口は20万人。
最も盛んな国はフランスで、競技人口が60万人です
(フランスの総人口は7000万人程度)。

また、キューバ、北朝鮮、韓国などでも盛んになっています。
大陸別に見ると、最も競技人口が多いのは実はアジアではなく、
ヨーロッパだったりします。

きわめて母数の多い武道であり、太極拳を除けば、
おそらく最多の経験者を持つ武道だと考えられます。

柔道の試合

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【柔道の歴史】

柔道が日本に生まれる前から、日本には徒手で行う武術がありました。
それが、古流柔術諸派(以下、柔術)です。

柔術とは、武士が刀を落としたときに素手で戦う技術として
考案されたものでした。

ですが、明治になって、刀を持ち歩くことが禁止されてから、
柔術は徐々に時代遅れとみなす動きが出てきたのです。

柔術に組み込まれていた、鎧を着てやる組討の手段や、
相手の手首を狙う当て身(相手の刀を落とすため)は、
もはや誰にも必要なくなってしまったのです。

そのころ、天神真楊流と起倒流を習っていた、
東京大学文学部にいた嘉納治五郎は、
「人を投げる」というのには、どういう理屈があるのだろう?
と、経験主義から合理主義へ、柔術を進化させることを考えていました。

加納治五郎(1860~1938年)

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その結果、嘉納は当身や鎧稽古を大胆に排除し、
崩しの理論などを確立して独自の「柔道」を作り、講道館を設立しました。

さらに嘉納は、囲碁や将棋から「段位」を取り入れ、
他流で言う「目録」相当の実力者に「黒帯」を与える事を考案しました。

柔道はその後、警察が行うべき武術として何を採用するか、を決める、
警視庁武術大会で、楊心流戸塚派と試合しました。

結果は2〜3の引き分け以外柔道の勝利。
これ以降、講道館柔道の実力が大きく認められるようになったのです。



【柔道の技術】

柔道の技術は、つかむ、崩す、投げる、という三点に集約されます。
相手の襟と袖を「つかみ」、
前後左右斜めの八方いずれかに、相手の姿勢を「崩し」、
不安定になった軸を払うか、もしくはそのまま浮かして「投げ」ます。

見事、投げ技が綺麗に決まったら、競技では「一本」となり、
即試合の勝敗が決定します。

単発では相手も抵抗しますが、連続技の中で、
相手の抵抗直後や、気力を欠いた瞬間を狙って技を仕掛けることで、
時には自分よりも大きな相手すら投げることが可能になります。

柔道においては、体力や気力もまた、技術と同様に重要な要素であり、
これが「柔よく剛を制す、剛よく柔を断つ」という言葉にこめられています。

なお、国際柔道の場合は、一本をとるよりも、それに準じる判定である、
「技あり」や「有効」、「効果」のポイントをとる事を優先する場合もあります。

特に、レスリングのようなポイント制になじみがあるヨーロッパの選手は、
こういった戦術を取ることが多いようです。

柔道は競技化する上で判定方式を取り入れたので、
国際柔道はそれを推し進めていったとも考えられます。

しかし、戦闘を目的として生み出された柔道が、
軽く転んだくらいで勝てるというのは思想に反するという考えもあり、
近年は再度、「一本」を重視するようにルールが変化しています。

柔道の投げ技である、「内股」の動画です。


なお、柔道には寝技もありますが、膠着状態になると、
すぐに「待て」がかかるため、
現在はほとんど寝技の決着を見ることは少なくなりました。

このため、柔道の寝技技術は、レスリング、サンボ、近代柔術などの
他の組技系格闘競技に比べて、大きく遅れています。



【柔道の練習】

柔道はメニューが細かく体系だてられており、
準備体操にも独特の練習法があります。

たとえば、寝技で組み伏せられた状態から脱出するため、
横を向いて寝た状態から、肩と足で勢いよく体を移動させる「エビ」などが
有名です。

また、柔道は練習の最初で、受身を練習することが大きな特徴となっています。
この受身の練習は、護身というか、いろいろな意味で覚えておけば得です。

余談ですが、私の知人の柔道家には、トラックに跳ねられたとき、
受身を取って見事無事だったという人がいます。

その後、打ち込みといって、二人一組になり、
投げるための技術を繰り返し、崩し方や返し方を、
体に覚えさせていきます。

学校で柔道を習った場合は、これをあまり繰り返しませんが、
道場や部活の柔道では、打ち込みをかなり長い時間行います。

打ち込みが終わると、乱捕りに入ります。
これは二人が自由に技を掛け合う、試合形式の練習法です。

場所によりますが、1回4分程度を4本行うくらいが、
一般的な稽古のようです。

他のスポーツにくらべると、4分というのはあまり長く無いように
思うかもしれませんが、これは相当な運動量になります。

たとえば、バスケやサッカーの試合で、4分間のスタンドプレーなど
あり得るでしょうか? あっという間に息が上がってしまいます。
本格的に柔道をやると、すさまじい体力を消耗します。



【柔道を習いたい】

日本であれば、たいていの市民体育館で柔道の教室があります。
また、中学、高校、大学に部活として用意されている場合もあります。
個人の道場も、近年は減りましたが、
他の武術よりはかなり多いほうです。

柔道着はどこでも買えますし、通販もあります。
柔道着と白帯を買ったら、近くの道場に行ってみましょう。
どこでも、丁寧に対応してくれます。

ただ、一時期(90年代)には女子柔道が非常に盛んでしたが、
近年では女子は減少傾向にあります。

女性の場合は、できれば女性がいる道場に行くのがいいでしょう。
組み合ったりつかみ合ったりする競技ですので、
最初は男性と練習することに抵抗感があるかもしれません。



【柔道の有名選手】

ものすごくたくさんいます。
しかし、ここでは1992年バルセロナオリンピック柔道男子71kg級金メダリスト、
「平成の三四郎」の異名を持つ、古賀七段を取り上げます。

常に一本を取りに行く柔道を体現しており、
小柄な体からの切れ味鋭い技の数々、豪快な一本背負投が得意技です。

まあ、堕論無用ですね。以下の動画をどうぞ。


古賀選手は、バルセロナオリンピックでは選手団主将を務めました。
バルセロナオリンピック直前に吉田秀彦との乱取り中、左膝に大怪我を負いましたが、
痛み止めを打ちながら見事金メダルを獲得しています。

さらに、1995年の世界選手権では、全試合一本勝ちという
歴史に残る偉業を達成しています。



【柔道で戦う・柔道と戦う】

ここからは個人的な意見です。

柔道家は決闘や喧嘩で、どのように戦うでしょうか?
ここでは、以下のような二人の架空の人間を仮定します。

・男性
・25歳
・身長170センチメートル
・体重70キロ。
・コンディション良好。
・既往症なし。
・喧嘩や決闘を前提として行動できる思考を持っている。
・精神状態は平静で安定している。

一人は柔道暦十年のA。段位は二段。市民大会で入賞している。
もう一人は日ごろ週に2回程度、筋力トレーニングをしているB。
Bには格闘技の経験はないが、テレビや学校で、柔道についての知識はある。
また、格闘技の試合を観戦したことがある。

この二人が、街の中で勝負することになったとします。

Bが刃物を持っている場合、Aはどう戦うか。

これは、昔の漫画や小説では「柔道では組み合っている間に刺されてしまう」
という通説がありました。

しかし、実際には一対一で向かい合った状態から始まると、
格闘技の経験が無いBは、つかまるなり投げ飛ばされてしまうでしょう。

柔道が遅いというのは迷信で、瞬発力を鍛える競技なので、
一般のスポーツ選手と同じ程度には速いのが普通です。
丸い体格の人が多いので、遅いイメージがついたのでしょう。

逆に距離が離れている場合、捕まえることは難しいかもしれません。
Bが勝つには、まず離れた状態で対峙し、
後ろに下がりながら、Aの手首を狙って斬りつける方法がよさそうです。

ただ、それでもナイフや包丁程度では、なかなか倒すのは難しそうです。
Bに日本刀や青龍刀でもあれば別ですが、そんな物を持てるなら、
Aだって持っているでしょう。その場合は互角です。

Bが素手であれば、どうでしょうか。
どういう服を着ているかが大きな要素になります。
タンクトップや破れやすい服だと、投げきることができない可能性があります。

しかし、一本背負いなどは、柔道の技術を少し応用しただけで使えます。
また、柔道着の代わりに皮膚をつかんで投げるという荒業もできます。

Bの体脂肪率が少なく、上半身が裸だとさすがに難しいかもしれませんが、
基本的にどういう格好であっても、柔道を相手にして「なんだ、柔道か」
と甘くみることはできないでしょう。
かなりの高確率で、Aが勝つのは間違いありません。

また、Aの戦術として、周囲に壁があれば、それに叩きつけるという方法があります。
叩きつけるほうが、投げ落とすよりも簡単です。

さらに投げるときに、競技では受身を取るように背中から投げますが、
Aに本気で殺意があれば、頭から落とすでしょう。

Aにこのような発想がある場合、柔道はきわめて強力な武器になるでしょう。



【次回予告】
次回は、空手(全空連)を取り上げます。



【注記】
この記事は、喧嘩や決闘を奨励するものではありません。
また、武道をやることで、強くなることを保障するものでもありません。
暴力行為の結果は、運や体調やその他の偶然によって、大きく変化します。
そして当然ですが、実際の暴力行為は法によって厳しく罰されます。

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by neo_logic | 2008-11-20 22:51 | 世界の武術
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