セキュリティ系エンジニア。IT技術について書いているふりをしています。
by neo_logic
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【書評】 探偵になりたい パーネル・ホール ハヤカワ文庫(1989)
「わたし、人殺しがしたいんです」
「そりゃ、だれだって」
「冗談じゃないんです。本気でそう思ってるんです」
「だれだってそう思ってますよ。当然です。ぼくも長いリストをもってます。
 女房を筆頭とする」


軽快な会話と巧みなタイミングで出てくるジョークに富んだ、
妙にリアルなマンハッタンの貧乏探偵を描いた作品。

アメリカのホームコメディをそのまま小説にしたような感じですごく読みやすい。
主人公の心の中の台詞と、実際に喋ってる内容がことごとく正反対なところが笑える。

肝心のトリックやミステリーとしての価値はそれほどでもないが、
殺意を抱くほど愛している妻のアリスや辣腕のドケチ弁護士のリチャードなど、
サイドキャラクターも良くできていて、さらに伏線消化がこれ以上ないほど
絶妙なタイミングで出てくるので、読んでいて飽きない。

個人的な話だが、私はスタンリー・ヘイスティングスのような友人が欲しい。

総評:80点(俊作)
ストーリー:中の中
キャラクター:上の中
テンポ:上の上
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# by neo_logic | 2007-07-05 06:40 | メディア評
【書評】 ドグラ・マグラ 夢野久作(1976年角川書店)
記念すべき第二回目の挫折である。
なんの話かというと、この小説は難解なのである。

ジャンルは怪奇小説で、精神病をあつかっている。
当事の世相を背景に、実に大胆な論理と展開を持ってきている。
三大奇書と呼ばれる、古典名作である。

が。
また途中をはしょりながら読んだんで
よぅわからんかった。ちきしょう。

まあ意味は比較的わかるんだが、
途中で読もうという意志が尽きるので
落ちが面白いと思えんのである。

引き込まれないとこういうもんの面白さはわからないのだ。
しかし結末も顛末も知ってしまったので、
もう一度読む気になるだろうか。

こういう名作の面白さを味わえないとがっかりしてしまう。
三年以内にまた読もう。絶対に面白いはずなんだが。

評価:挫折につき今回は記述しない。
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# by neo_logic | 2007-06-22 19:08 | メディア評
【映画評】 ブラッド・ダイヤモンド 2006年米/ 143分/カラー
歌舞伎町へ友人とぶらっと期待せずに見に行った映画。

すんげぇ面白かった。胸がスカッしたよ。
爽快な映画らしい映画。

ズウィックはラストサムライのころと比べても腕を上げたな。
ディカプリオも容姿以上の演技力。
まあこの人もともと演技は上手だったよね。
これまで役に恵まれなかった気がする。
今回はいい役もらったなぁと思う。

この作品、まず見事なのはアフリカをどう描いたか、である。
ズウィックのことだからどうせ考証は間違いだらけで
脚色の嵐なんだろうが(少なくともアフリカ内戦で、高価な
銃弾があんなに使えるわけがない)、そこはいい。面白いから。

知らないのは仕方がないし、シエラレオネの実情には
とりあえず興味がないのでここでは考えず、俺もこれが事実だと
騙されておくことにする(まあ実際、この内戦は本当にひどかったらしい
特にこいつらが)。

と言っても、この作品は考証がどうこうより、ストーリーと演出である。
文明の重要性と内戦の悲惨さを雄弁に語る内容、
さまざまな立場のさまざまな思惑の表現、
資本主義の背後にある醜い現実の見事な描写。
そして納得の行くわかりやすい展開。

映画ってこうやって作ると面白くなるんだなと短絡的に思ってしまった。

こんな面白い作品は久々に見ました。
老若男女問わず薦められる話なので、是非見てください。
「戦争が嫌い」でかつ「ダイヤモンドが綺麗だと思う」人には特にお勧めです。
視聴後に「気分悪くなった、責任取れ」って言われても困るけど。

まあケーハクな部分もかなりあるんだけどね。でもいいんだ。
俺はケーハクな感動で十分な人間なんです。

総評 92/100点
役者  ハリウッドでは最高レベルかな
監督  よくぞここまでやった
演出  かなりがんばった
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# by neo_logic | 2007-06-20 21:26 | メディア評
【書評】 汝ふたたび故郷へ帰れず (飯島和一 著)
久々の書評。
歴史作家の飯島が書いた現代もの。

傑作。

あまりボクシング関係の小説を読んだことがなかったので、
ちょっと興味を持っていた。

文藝賞受賞作だから外れもないだろうと
思っていたのだが、これは予想以上だった。
このサイトに来る人なら、まず間違いなくお勧めできる。

挫折しかけたボクサーが再起をかけて挑む。
日本一位のボクサーに十回戦で戦う。
ただそれだけの話だが、周囲の人々を通じて描かれる心理描写が秀逸。

ごく私見だが、格闘技というのは縁だと思う。
格闘技に関わる人が、それを続ける最大の理由はそこに縁があるからじゃ
ないだろうか。

実際のところ、格闘技なんてやらないにこした事は無いと思う。
なにせ金にはならない。女にはもてない。社会的名声も大したもんじゃない。
痛えし臭えし辛えし、ろくな事がない。
見る分には格好いいかもしれないが、伊達と酔狂でできるもんじゃない。

それでも、その世界でプロを目指そうなんていう気になるのは、
これはもう縁があったからと言うしかない。
本能というのは簡単だが、進化しすぎてしまった人間という生物が、
本能だけでリングに立つというのは、あまりに短絡的である。

この作品は
「ヒーローが唐突な修行でチャンピオンになる作品」でもなければ、
「人生の辛さに耐えかねて挫折する作品」でもない。
ただ、この作品から得られる感動は、そういう作品の感動を内包している。
それは、人との縁を通じて描かれているからだと、僕は思う。

感動したか感動しなかったかという観点だけで言うなら、
ここ3年で感動した作品はこれ一つだけだった。

「カマーン、ボーイ、カマーン!」

総評 99/100点
文章   満点
構成   満点
人物   合格点
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# by neo_logic | 2007-01-27 11:15 | メディア評
【書評】 塗仏の宴 講談社(1998)
京極夏彦の小説を薦めると、いつも
「長い」とか「冗長」とか言われる。
否定はしないが、面白いだけいいと思うんだがな。

まあ、そんなわけで読了したのだが、確かに長かった。
休日に小説を読まないのでどうしても時間がかかる。
「山猫の夏」や「果てしない物語」を一日で読了した日々は
もう遠く過ぎ去ってしまったんだなあと思ってしまう。

しかし、やっぱりこいつは面白かった。
たしかに薀蓄を入れると小説というのは長くなるが、
それを冗長とまで言うのは少し短絡的だ。
構成さえしっかりしていれば、小説と言う媒体に
無駄というものを入れる余地はそんなに無いと思う。

以下ネタばれ。いいか、こんな古い小説でそんなこと言わなくても。

ものすごい人数と組織がごったがえす話である。
まさしく文中にあるとおり百鬼夜行だ。

そしてこの話は京極堂もさることながら、やはり木場と榎木津である。
この二人が最高にいい。鮮やかな色彩を放つ脇役である。

ばかりか、今回、相手方が笑える。
韓流、藍童子、何仙姑、このあたりで面白い洒落だなあと思ったら、
これが思いっきり本筋。まさかそれで突き進むとは思わなかった。
勘のいいと言うか、中国映画を見まくっている人なら一発でわかる冗談だ。
これが実は全部つながっていたという大技荒業で、結末は大爆笑である。
なんとなくゴジラの怪獣総進撃を思い出した。

京極の小説は、古文漢文民俗歴史哲学心理あたりへの興味と
昭和の流行に関するイメージが無いと
面白さが半減する。といっても作品自体がいい出来なんで、
この小説からそういう世界へ入っていくのも手だ。
私の場合は両面からだったわけだが。

京極は昭和34年生まれだから、「酔拳」も「ゴジラ」も直撃世代だ。
影響うけてんだろうなあ。まるでその影も残ってないが。
となるとこの人、ある意味非常に荒木飛呂彦に似てるのかもしれん。
パロディの宝庫なのに、どうみてもオリジナルというところで。

誰にでも薦めらるとは言わんが、迷っている人には薦められる。
特に30代の方には、思わずにやりとするところがあるんじゃないだろか。
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# by neo_logic | 2006-10-05 22:16 | メディア評